📚おつかれ私、よろしく先生
こんばんは☺
なが~い夏休みがようやく終わりました。長期休みの終わりはいつも少し寂しい。でもじゃああと何日要るのかと言われれば…体力が底を尽いてるのも事実🙌大人も子どもも、頃合いなんだな。また冬休みまで、学校にわが子をあずける時。
子どもたちの「あと〇日で9月~😫」という嘆きが始まる夏休みの終わり。朝晩はめっきり涼しくなり9月を待たず早くも秋の気配🍂朝の洗顔をするとき、水道水が出始めから冷たい!夏が終わるわ!と。なんとも風情のない秋の気配です。皆さんの秋の気配はどんなところですか?☺
百田尚樹『プリズム』
百田尚樹さんの『プリズム』を紹介します。
まず、百田さんといえば有名なのは小説なら『永遠の0』、歴史本なら『日本国紀』ではないでしょうか。特に『永遠の0』は岡田准一主演で映画化もされているので、未読・未鑑賞の方でもこの作品のタイトルは聞いたことのある方が多いと思います☺他にもどんな作品があるのだろうと調べてたら、百田さんは小説家(2019年に既に引退を発表済み)である一方で、その前から本職は放送作家とのこと。なるほど、だから『プリズム』の文章も流れるように読みやすいのかと納得しました。385ページもある長編小説ですが、読みやすく一気読みしました。
そんな『プリズム』は長編恋愛サスペンスストーリー。文庫本の初版発行が平成26年4月。9年前の作品になります。
感想 ☺ネタばれ”ほぼ”なし☺
文庫本のあらすじを読んでも「実際には存在しない男とは???」と、初めは一体どんな設定になっているのか予測がつきませんでしたが、聡子と恋に落ちるこの”男”は解離性同一性障害(多重人格)を患う男性の中の”一人格”でした。
聡子が家庭教師として通うことになった豪邸に住むの謎の男は岩本広志。聡子はそんな謎の男広志に会うたびに”芸術家を自称する宮本純也”、”知性的な紳士の村田卓也”と、名乗る名前や人柄が変わることに戸惑う。広志は解離性同一性障害を患っており、広志の中には、別の5つの人格があったのだ。多重人格自体を疑いながらも、聡子はその複数の人格のひとつである村田卓也と対峙していくうちに広志の抱える過去を知り、治療に付き合うことにする。そして段々と卓也と恋に落ちてしまい・・・といったストーリーです。
この作品が特に他とは違うと感じたのは、感情移入してしまう登場人物がとても多いところ。
主人公の女性 梅田聡子はもとより、多重人格者である岩本広志。そして広志の中に存在する別人格の純也に卓也。なかなかどのストーリーでも4人へ感情移入することってないと思いますが、この作品はどの登場人物の気持ちも痛いほど想像できるし、だれの気持ちを汲んでもとても切ないストーリーでした。
印象的だったのは(p357)【純也の言う通りだと思った。彼は虐待を受けるために生まれてきた。もともとは広志自身が虐待から逃れるために自らの記憶を消し、避難用に作り出した「人格」にすぎなかったが、それはいつしか一つの個性を持つ「人間」になった。】という箇所。
人も生まれたときはまだ「人格」というものは持ち合わせていなくて、それは生きていく時間の中で様々な過程を経て育まれていくもの。これが交代人格にも当てはまる道理だと思うと、広志のために交代人格を消し去り統合していくことは、「個」をもつようになった「交代人格」にとっては「死」そのもの。いたたまれない気持ちになりました。
『プリズム』はフィクション小説ですが、百田はこの作品を書き上げるにあたり多重人格についての膨大な資料を読んでおり、「交代人格も成長を遂げる」ということに関しては創造なのか、事実なのか、小説をこえて”多重人格とは”とあらたな知的好奇心をくすぐられる作品でした。機会があれば多重人格に関するノンフィクションの読み物に出会いたいです。
皆さんもぜひ読んでみてください☺
とても惹き込まれる作品。文章も明快で読みやすく、385ページもあるとは思えないほど読み疲れのない一冊です💁♀️