📚唯川恵『みちづれの猫』
こんばんは🌛訪れてくださりありがとうございます!
もうすぐお盆ですね。沖縄で猛威をふるってた台風が来週うちの地方にやってきそう💦少なくともぼちぼち天気予報に雨マークが見えてきました💦今週末でお墓参りも、仏さんへのお供えの準備も済ませてしまわねば!と突然焦りはじめた金曜日です🥲
昔よりも年々こういった行事が単なるしきたりじゃなくなってきました。若い頃は行かないといけない責任感が強かったけど、結婚して年が経ってお彼岸のお墓参りが自分にとって自然な行事のひとつになってきたように思います。親に乗せてもらって行っていた少し遠方のお墓も、この数年はわたしが乗せていく側に。こんな小さな行事ひとつとっても、小さな世代交代を感じるこの頃😌
核家族化がすすむ現代社会。将来どこに住むか分からない子どもたちには、こういった負担になるような風習はもう私たちの代で止めようかなとは思ってますが…たまたま生活の中で無理なく行ける距離にいるわたしにはあまり負担でもなく。墓前でご先祖に手を合わせ、子どもの成長を報告し家族の健康と平和を願うその数十秒は、どことなく氏神様へお詣りに行くときの気持ちに似ている気がします😌
唯川恵『みちづれの猫』 ★★★★★
唯川恵さんの『みちづれの猫』をご紹介します☺
この作品は、2002年に『肩ごしの恋人』で第126回直木賞を受賞している唯川恵さんの新作。
単行本の初版が2019年11月、文庫本の初版が2022年8月に刊行されました。私も先月に文庫本の初版本を購入できたので、いま書店に足を運ぶとおそらくまだ初版本が入手可能です!☺7編からなる全237ページ(解説含む)の短編集。1編あたり30ページ程度なので短時間で読み切れ、隙間時間読書におすすめです💁♀️
表紙のイラストもすでに優しい雰囲気が醸し出されてて素敵ですね😽
唯川さんはきっと猫派で、何年も飼ってる愛猫がいるんだろうと、ほぼ確信にみちた想像を抱きながら読みました。何せ猫の描写があまりにリアルで、どの短編に登場する猫もまるで、実際にそんな猫を知ってるような気がしてくるほど。
しかしどうやら違うらしい。唯川さんは犬を飼っていたことはあるものの、猫は飼ったことがないそう。ただ、その犬を飼っていた当時、犬の為に東京から軽井沢へ引っ越したそうです😮今回の作品『みちづれの猫』にも軽井沢が舞台の物語もあります☺そんな移住先の軽井沢は、野良猫が多いらしく、唯川さんも愛犬が亡くなってから寄り付くようになった野良猫たちに餌をやる習慣ができ、この作品の着手に至ったんだとか。(集英社 文芸ステーション『みちづれの猫』刊行記念インタビュー参照)
感想
涙なくしては読めない作品。はじめは短編集なので移動時間やちょっとした待ち時間ようにとカバンに忍ばせてたんですが…子どもの習い事待ちで読み始めたら「これはだめだ!泣くわ!!」と。あわてて本を閉じました🤣その夜自宅で読んで号泣。第1編の「ミャアの通り道」から涙ボロボロでした🥺
そんな「ミャアの通り道」は、子どもの頃に飼っていたミャアの最期の時が迫っていると母から知らせを受け、成人してしばらく経つ子どもたち3人が帰省する話。久しぶりに見る年老いたミャア、ひと回り小さくなった両親に、過ぎ去った時間を実感する3人。もう戻らない過去の幸せだった時間が切なく思い出される。
核家族が当たり前になった現代。よくある現実をそのまま小説に落とし込んだような作品で、胸が切なく苦しくなりました。まだ若かった両親。はしゃぎ合い、時には喧嘩もして育った兄弟や姉妹。ひとつ屋根の下でともに過ごしたそんな過去の時間はもう2度と戻らない。大人になった誰もがリアルに想像できるシーンばかりです。
わたしの今の住まいは実家の隣の市。弟がふたり居ますが、一人は家庭があって同じく別の市。末の弟もちょうど今月から一人暮らし。わたしも同じ県内に皆がいても、なかなかもう元の家族が一斉に集まれる機会はありません。それぞれに今の家庭、生活があるから。そんな中、両親も少しずつ老いてきて、古くなった家屋の問題、今はまだ元気で還暦を過ぎたくらいだからいいけど田舎だからスーパーも遠いのに同居家族がいないまま老いが進んだら…などなど、先を見越して私たち夫婦のなかでこの数年出るようになった話題。心理描写がとても巧みなので、実生活が小説に重なり合いすぎて、ぎゅっと胸が締め付けられました😭
フィクション小説は、ほとんどのものが別世界という認識。わたしの場合、感情移入しても、それはその物語の世界が別にあって、そこに自分が入っていく感覚です。でもこの作品は物語の世界と現実が絶妙にリンクしているような感覚。「感情移入」「理解できる」というより、物語をよみながら胸にグッとくる切なさの先には小説の登場人物ではなく、自分の両親や自分の過ぎ去った家族の思い出がある感じがしました。
「ミャアの通り道」以外の6編も、猫と人のやさしさに溢れた物語ばかり。
この本は、この先も手放すことなく生涯わたしの手元に置いておくだろう一冊です。皆さんもぜひ手に取ってみてください😌