📚とっておきの一冊に出合うということ
こんばんは🌙今夜は久しぶりの充足感に酔いしれたまま記事を書いています。
こんなに心が震えたのは本当にいつぶりだろうか。
虐待やジェンダー、ステップファミリーなど「現代社会」を映し出した作品というような解説・評価を目にしてとても重い作品なんだろう、読むべきだけど読みたいけど、自分の体力に余裕があるときの方がいいんじゃないか…と前反響に反して、なんだか二の足を踏み続け、ずっと読めていなくて。それにようやく手を伸ばしました。でも伸ばしてよかった。遅すぎたけれど、伸ばして良かった。
本当に、こんなにも充足感があって、一ミリのモヤも残らず、心が潤い、震えたのはいつぶりなんだろう。心底感動しました!
毎日、どんなに少しずつだとしても必ず本を読む。過去間違いなく1000冊以上読んできた中で、”いい本”にはたくさん出合えた。そのつど学びもある。たくさんの感銘もうける。そして本の世界は無限にひろがっていて、本はいつも”ここ”から”どこまで”でも私をトリップさせてくれる。
それでも、自分にとっての絶対的な「これだ!」という一冊に出合えることって、稀で貴重な機会だと思う。まさにこの本は、そんな”一冊”だ。毎日私が紙をめくり続けるのは、たまに出合えるそんなとっておきの一冊に出合うためだなぁと、この愛しい本を抱えながら思う。久しぶりに出合えたよ。
「本」というのは、【欲しいことがわかっているものを手に入れるだけでは不十分で、この場合、最高の買い物とは、それを手に入れるまで欲しいことがわからなかったようなものを手に入れること】(ヘンリー・ヒッキング著、浅尾敦則訳『この星の忘れられない本屋の話』より)という文章に出会ったことがあるけれど、まさにこれに尽きると思う。
本屋大賞受賞から2年の月日を経て、これから先も間違いなく町田そのこさんの代表作の一つになるだろう『52ヘルツのクジラたち』を手にしたのです。心からしあわせ。こんな最高の出合いがあるから、これだから本はやめられないんだYO!
町田その子『52ヘルツのクジラたち』
『52ヘルツのクジラたち』は2021年の本屋大賞受賞作。文庫版は2023年5月に刊行されたばかりなので、まだ今も書店で初版本を入手可!🐋✨表紙カバーは紺色地だけどイラストがとても可愛く、書店でたくさんの本が平置きされてる中でも目をひきます☺
また、作者の町田そのこさんの他の作品には『ぎょらん』(2018)、『星を掬う』(2021)、『あなたはここにいなくとも』(2023)などがあり、どれも感涙必須と評判です。わたしは実はこの『52ヘルツのクジラたち』が町田さん初めての作品だったんですが、他の作品もよく本屋さんでよく平置きされている気がします。2017年にデビューされた新しい作家さんですが、話題作も多く、これからの大衆文学を代表していく作家さんになりそう☺まだ今の追いつけそうなうちに追いかけて全作読破してみたい🤭特に、近々『ぎょらん』を購入しようと思っています♪
感想
まず読みやすい。だから中に入り込みやすい。そして最高のハッピーエンド。今年一番泣きました。やっぱり泣ける作品は長編がいい。
人間不信で孤独な中にいる主人公が、同じくつらい境遇にいる少年を救いたい一心で再起していく物語。途中、過去を回想シーン、暴力シーンでは目を覆いたくなるような辛い描写もあるけれど、どれも既視感を感じる。本当にフィクション?と思うほどにテレビニュースで取り上げられる現実の虐待事件を思い起こすほどリアリティがある。
特に母親から「ムシ」と呼ばれている少年が貴瑚に心を開いていくシーンは圧巻です!目を覆いたくなるような虐待シーンは存分に現実社会の闇を反映していて、とても考えさせられる。いつも虐待のニュースは本当にその子どもが不憫で心が痛む。いまも全国のどこかでそんな境遇にいる子たちの一人でも多くが助けられて欲しい。でも、そんな傷を幼少期から心身に負った子が「真に救られる」というのはどういうことだろう。寄り添うことを、どこまで受け入れてもらえるのだろう。とても深いテーマだからこそ、「物語の中」で貴瑚や少年が孤独から再起していく姿には救われる。守るものの為に強くなろうとする姿にとても温かい気持ちになりました。
痛みを知っているからこそ、人の痛みにも気づくことができるのかもしれない。けれど、人からやさしさをもらったことがあるから、人にやさしくあれるという事もある。私はこんな壮絶な生い立ちはもっていないけれど、私もだれかの痛みに耳を傾けれる愛のある人でありたいと思いました。改めて、子どもは大きい愛情の中でやさしく育てていきたいと思う。思わず眠るわが子を抱きしめたくなりました。
刺さった言葉
( ..)φ 「もう、誰とも関わり合いたくない。そう願ってそれを叶えたのに、温もりを求めている。」
( ..)φ 「ひとというのは最初こそ貰う側やけんど、いずれは与える側にならないかん。いつまでも、貰ってばかりじゃいかんのよ。」
( ..)φ 「あの夜、たすけてと言ったぼくのこえ、キナコはきいてくれたよ。」→特にこのシーンは泣ける。どうしてここだけこんなに平仮名が多く、言葉も少したどたどしいのかも含めて泣ける😭間違いなく名言です!
この素敵な作品がより多くの人のもとに届きますように…🌟